よくわからないから楽しい

たまに何を言っているのかも分からなくなります

精神論で他人を変えるより自分を変える方が簡単

先日ネットで以下のような話がバズっていました。
発達障害の子供への『声かけ変換表』に、多くの人が『反省させられる』と話題

元ネタはこちら
#接し方 - 発達障害 アイデア支援ツールと楽々工夫note | Facebook

・「危ない!」→「止まって! 」(具体的に)

・「早くおフロ出なさいッ!」→「夕飯は唐揚げだよ」(興味がある情報)

・「早く支度しなさいッ!」→「5分で終われば、あと10分遊べるよ」(メリットを伝える)

発達障害の子供だけじゃなくて、いろんな人間関係に通じるよね、という話です。 これってマネジメントにも応用できる内容だと思っています。

 

その精神論では伝わらない

 

みんな大好き(大嫌い) な精神論。つい最近もなんかそれっぽい話がWeb界隈を賑わせていたような気がしますが、それはいいや。横に置いとこ。

マネジメント側に立つ人がメンバーを鼓舞する際に、次のような言葉がよく使われがちです。

 

「もっと危機感を持て」

「もっと当事者意識を持て」

「もっとチャレンジ精神を発揮しろ」

 

これらのマインドセットは、特にベンチャーやスタートアップであればメンバー全員が持つべきものです。それは間違い無い。

一方で、そんな精神論でチームを鼓舞してみたところで、状況が変わることなんてほとんど無い。なので最近はこれらの言葉を投げかけないように意識しています。

マネジメントにおいて、「メンバー全員が自覚を持つべき」ということと、「それを直接的に言うことで、メンバーに本意が正しく伝わるか」ということは明確に分けて考える必要があります。変革のためのスタートラインはここにあります。

なぜこれらの言葉が機能しないのか、どうすべきなのかについてつらつらと書いてみました。

 

理由 - 思考を押し付けることに対する拒絶反応

 

まずありがちなのが、単純な拒絶反応です。

 

・「言われなくても分かっている」という反発

・「自分はちゃんとやっている」という反発

・「お前が問題なんだろ」という反発

・「上司に認められていない」という諦め

・そもそも自分のことだと思っていない

 

これは、言っている人と言われている人に信頼関係が無い場合によく起こります。マネージャーを無能だと思っていたり、マネージャーが正論ばっかりで、現場の感情を全く無視していたり。現場のメンバー間の人間関係がギスギスしている場合も、自分のことだと思っていないということが起こりがちです。

 

理由 - 具体的に何をすれば良いのか分からない

 

お互いに信頼関係があって拒絶反応はクリアできても、結局直面しちゃう問題がこれ。こんな抽象的な言葉を言われたところで、言われた側はどうして良いかわからないんですよね。

 

・長時間働けばいいの?

・私もそう思います!って日報に書けばいいの?

・もっとアポ取りすればいいの?

・我々エンジニアはどうすればいいの?

・もっと頭を使って仕事をすればいいの?

・現状の何が問題なの?

・どう変わってほしいの?

 

人によって思うことはバラバラなんじゃないでしょうか。ビジョンも仕組みも無い会社が「とにかくお金を稼いでこい!」「とにかくいいものを作れ!」って言っているのと、根本的には同じようなもんです。

「そんなこともわからないのか?」と思うかもしれないですが、以心伝心ができていればそもそも冒頭の精神論を発する必要が無いわけで。「そんなこともわからないのか?」もやっぱり、状況を変えることの無い言葉のひとつです。

 

どうすべきか - 状況を客観的に考える

 

・悪い状況はなぜ起きるのか

・実はプロダクトが悪いんじゃないか

・社内のルールや仕組みに問題があるんじゃないか

・採用方針が間違っているんじゃないか

・自分の判断が根本的に間違えているんじゃないか

・これらの要因をメンバーに転嫁していないか

 

こういったことを客観的に考える必要があります。その結果、本当の原因はだいたいメンバー以外の所にあることに気付くはずです。

 

どうすべきか - 言葉を置き換えてみる

 

「危機感」「チャレンジ精神」と自分自身が言っているものの正体が何なのか、よく考えてみましょう。

 

「危機感」→「もっと効率化してスピード感を出したい」

「チャレンジ精神」→「もっと新しいものを生み出したい」

 

どうすべきか - ポジティブな状況を目指すための仕組みを作る

 

正体が分かれば、それを良い方向に変えるために仕組みを作ることです。スピードを上げたいなら、社内の余計な仕事やルールを徹底的に排除する。新しいものを生み出したいなら、多少効率化の手を止めてでも、考えることや今までやったことの無いアイデアの実現に時間を割く。

その際に重要なポイントは2つ。

ひとつは、変革を押し付けるのではなく共感によってメンバーを巻き込むこと。変わるということに対して前向きになれるようにモチベートすることです。

もうひとつ、こちらはさらに大事なことなんですが、ちゃんとメンバーひとりひとりを認めてあげることです。「危機感の無いダメなやつ」と思って接していたら相手に伝わります。そんな状態で共感なんか得られるはずも無いです。

 

どうすべきか - 自分が我慢する

 

変革の過程において、我慢すべきはメンバーではなくマネジメント自身です。メンバーが我慢しているのに、自分は我慢せずに言いたい放題やりたい放題という状況で現場がポジティブになるわけがないし、その結果として出てくる言葉が冒頭の精神論だからです。

例えば本当に現場に新しいものを生み出すチャレンジをさせているなら、自分の理解の範疇を超えるアウトプットやそれを実現するための方法論が出てくるのは当然で、そこで「ダメだ」と言って却下していたら新しいものなんか生まれっこない。

具体的な方向性を示して現場の自発的な行動を促す所までできたなら、マネジメントの主な仕事は「我慢すること」だと思いましょう。それでうまく軌道に乗れば、後は勝手にどんどん良くなっていきます。

最初は本当に我慢の連続かもしれませんが、ボトムアップでいろんな発見が生まれてくるようになるので、結果的に自分自身もワクワクできるようになりますよ。

 

おわりに

 

落ち着いて考えれば分かることだと思うんですが、ほとんどの人は精神論で自分が動かされることを嫌います。日頃精神論ばかり言っている人も、なぜか言われることは嫌います。

他人の意識や行動を唐突に変えようとするのではなく、まず自分の考え方、発信方法、行動を大きく変えてみて、周りをポジティブに感化していく。

この方が簡単だし、空虚な精神論を言い続けているよりも状況がちゃんと変わっていきます。